WiMAXを提供しているプロバイダの多くは「通信容量無制限」や「制限なし」を推して加入者獲得をしています。
たしかに多くのユーザーにとっては通信容量無制限に近い内容なのですが、じつはインターネットのヘビーユーザーにとっては決して「制限なし」ではないことをご存知でしょうか。
そこで今回は、WiMAXの通信容量や速度制限について詳しく解説していきましょう。
この記事でわかること
WiMAXの速度制限なしって嘘なの?
スマートフォンやモバイルWiFiサービスの利用においてネックとなるのが、データ通信容量の問題。
しかし、その中でもWiMAXというサービスには「速度制限なし」や「無制限」と謳ってサービスを提供している事業者が多く存在します。果たして本当にそうなのか、詳しく考察していきます。
通常プランは月間7ギガ制限がある
まず、多くのWiMAXでは2種類のプランが提供されています。はじめに紹介するのが、通常プランとよばれる月間7GBまでの制限がついたプランです。
これはその名の通り、月間7GBまでの通信を超えると通信速度が低速になるというもの。WiMAXに限らず、スマートフォンの契約でも7GBの制限がついたプランを契約している方もいまだに多いのではないでしょうか。
ただし、WiMAXの場合、最近では通常プランを契約するユーザーは非常に少数と言われています。モバイルWiFiサービスの場合、やはり定額で使い放題というのが大きな醍醐味であることは確か。
多少料金が高くなったとしても、速度制限なしのプランを選択するユーザーが多いのはそのためです。
ギガ放題プランは3日で10ギガ制限がある
月間7GBの制限付きのプランではなく、データ容量無制限で利用できるのがもうひとつのプランであるギガ放題プランです。WiMAX事業者によっても多少呼び名は異なりますが、同様の内容で提供していることが多いです。
現在の主流はこちらのプランであり、月間でデータ使用量を気にすることなく利用できるのは大きな魅力といえます。
ただし、光回線のように完全に無制限で利用できるということではなく、ギガ放題プランであっても「3日まで10GB」という制限が存在します。
補足
3日間で10GBを超えた場合に翌日がデータ通信制限の対象となるもの。ただし、翌日が丸一日制限の対象となるのではなく、夜間の限られた時間のみが対象となります。
au 4G LTEの速度制限がある
WiMAX端末では通常のWiMAX回線のほかにauのLTE回線を利用できる「ハイスピードプラスエリアモード」とよばれるサービスがあります。これはその名の通り、auのLTE回線を利用してインターネットに接続できるサービスです。
しかし、auのLTE回線であっても月間で7GBを超えた場合に速度制限の対象となってしまいます。
ハイスピードプラスエリアモードは山間部に強い特性がありますが、都心部に戻った際に端末の設定変更を忘れていると、あっという間に7GBに達している可能性もあるため注意が必要です。
どれくらい使ったら速度制限がかかるの?
それでは速度制限の対象となる7GB、10GBとは実際にどの程度のデータ量なのでしょうか。身近な例を挙げながら、どの程度使えば制限に達するのかを見てみましょう。
7ギガってこのくらい
ホームページ閲覧(800KB/ページ) | 約9,000ページ |
---|---|
動画視聴(標準画質) | 約30時間 |
音楽のダウンロード(4MB/曲) | 約1,800曲 |
Skype | 約20時間 |
7GBでできることをまとめてみました。あくまでも目安に過ぎませんが、1ヶ月に7GBと考えると、毎日YouTubeなどで動画を見ているユーザーにとっては少ないと感じるのではないでしょうか。
当然のことながら動画の画質を上げるとデータ通信容量も大きくなり、視聴可能な時間も短くなります。
10ギガってこのくらい
ホームページ閲覧(800KB/ページ) | 約12,000ページ |
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動画視聴(標準画質) | 約37時間 |
音楽のダウンロード(4MB/曲) | 約2,100曲 |
Skype | 約27時間 |
次に10GBのケースで考えてみましょう。7GBは1ヶ月という単位が前提でしたが、10GBは3日間で考える必要があります。
常に通信速度制限の対象となる使い方をするユーザーは多くないと思いますが、たとえば大型連休などで高画質の動画を長時間見続けていると10GBに達するおそれも考えられるでしょう。
WiMAXの速度制限がかかる期間
速度制限の対象となった場合、通常プランとギガ放題プランによってその期間や速度も違いがあります。それぞれのパターン別に詳しくご紹介します。
7GB通常プランの場合
7GBの通常プランの場合は、1ヶ月あたりのデータ通信容量が7GBを超えた場合、当月末まで128kbpsに制限されるというものです。
たとえば、15日の時点で7GBに達した場合は、31日の月末まで128kbpsに速度が低下します。そして月をまたいで1日になった時点で速度制限は解消され、通常に戻るという仕組みです。
ギガ放題プランの場合
ギガ放題プランの場合は通常プランよりも制限の対象が緩く、3日間で10GBを超えた場合に翌日の夜間(18:00〜26:00まで)のみ1Mbpsに制限されるというものです。制限の対象となる期間は短く、日中の時間帯は問題なく利用できます。
また、通常プランに比べて速度制限後の速度もある程度は確保され、WEBサイトの閲覧程度であればスピードは遅いものの可能なレベルといえます。
ただし、一旦速度制限の対象となった後にデータ通信量がリセットされるというものではなく、あくまでも直近3日間のデータ通信量のトータルでその後も判断されることになります。
たとえば、1日目に3GB、2日目に5GB、3日目に3GBを利用した場合、4日目には2GB以下に抑えないと再び速度制限の対象となってしまいます。
WiMAXで速度制限がかからないための方法
快適にインターネットを楽しむために、速度制限の対象とならないようにするには次の3つがポイントです。
ポイント
- こまめにデータ通信量を確認する
- こまめに通信モードを切り替える
- できるだけ無料WiFiを使う
順番に速度制限を回避する方法をご紹介しましょう。
1.こまめにデータ通信量を確認する
まずはデータ通信量をこまめに確認するという方法です。データ通信量は目に見えるものではないため、現在どの程度の量の通信を行っているのかを常に把握しておく必要があります。データ通信量の確認方法としては、以下のように主に3つの方法があります。
WiMAX本体から
まずはWiMAXの端末本体から確認するという方法です。本体のモニタ表示にメニュー画面としてとして「データ通信量」などと表示されていることが多いですが、もっとも手軽に確認できる方法といえるでしょう。
ただし、WiMAX本体からの確認の場合はあくまでも概算のデータ量であるため、正確なデータ通信量とは少し差が生じることもあります。
アプリから
データ通信量をWiMAX本体ではなくスマホ側から確認する際に便利なのが、通信量を計測できるアプリです。こちらもアプリを立ち上げるだけで確認できるため、WiMAX本体での計測と同様に手軽な方法といえるでしょう。
ただし、いくつかのデメリットもあります。まず、スマートフォンとしてのデータ通信量を計測するため、WiMAXに接続していないときのデータ通信も計測対象となってしまうこと。
また、WiMAXをスマホ以外にパソコンやタブレットとも接続して利用している場合、それらのデータ通信量が計測できないことです。
通信量チェッカー
プロバイダのマイページから
もっとも正確にデータ通信量を計測できるのは、プロバイダのマイページにログインして確認するという方法です。そもそも通信速度制限の対象となるか否かはマイページで計測されているデータが基になっています。
WiMAX本体やアプリからの確認に比べると少し面倒に感じてしまいますが、正確性を求めるのであればおすすめの方法です。
2.こまめに通信モードを切り替える
WiMAXにはハイスピードプラスエリアモードとよばれるモードがあり、山間部や郊外に強い特性があります。しかし、これはauのLTEネットワークを使用する通信モードであり、月間7GBという制限があります。
そのため、旅行や出張などでハイスピードプラスエリアモードに切り替えた際は、WiMAXの電波がある場所に戻ってきたらこまめに通信モードを切り替えるようにしましょう。
3.できるだけ無料WiFiを使う
カフェやレストラン、居酒屋など、多くの人が長時間滞在するような場所には無料のWiFiサービスが用意されているケースが多いです。できるだけ通信容量を節約するためには、無料WiFiサービスがある場所に来たら無料WiFiを利用することを心がけましょう。
ただし、無料WiFiの多くはセキュリティ対策が甘く、個人情報やクレジットカード情報などをやり取りする通信には適切ではありません。そもそも不特定多数の人からスマホやパソコンの画面をのぞき見されるリスクもあるため、十分注意が必要です。
データ通信量を制限なしで使いたいなら固定回線
WiMAXは「容量無制限」と謳っているプロバイダも多いですが、少なくとも3日間で10GBという制限は避けて通れない道です。そのため、完全に無制限のインターネットを利用したいのであれば、やはり固定回線という手段以外にはないのが現状です。
特に動画やソーシャルゲームなどの利用が多い方は、固定回線とうまく併用しながら利用することも選択肢のひとつとして検討してみましょう。
WiMAXは制限なしではないが工夫次第で快適に使える
今回はWiMAXの通信制限についてご紹介してきました。WiMAXは決して制限なしというものではなく、あまりにも使いすぎてしまうと時間は限定されるものの通信速度が低下するリスクがあります。
こまめに通信容量を確認したり、通信モードを切り替えるなどして通信容量の節約につとめましょう。