格安スマートフォンやWiMAXといったモバイル契約は、ほとんどがインターネット上での手続きで完結します。
しかし、実際に自宅や職場などで利用できるかは現地で本体を起動してみないと分からないものです。
せっかく契約して端末が届いたにもかかわらず、いざ電源を入れてみたら圏外や電波が不安定で使えないといったことが起こる可能性はゼロではありません。
そこでおすすめなのが「初期契約解除制度」を活用する方法です。その名の通り、契約後にトラブルが起こった場合であっても契約そのものを解除できる制度です。
今回は、そんな初期契約解除制度について詳しく紹介していきましょう。
この記事でわかること
初期契約解除制度とは
まずは、初期契約解除制度とは何なのか、詳しい内容を紹介します。また、「クーリングオフ」にも似た制度のため、初期契約解除制度とクーリングオフとの違いについても詳しく解説します。
初期契約解除制度の対象
初期契約解除制度とは、携帯電話やデータ通信サービス、光回線やCATVなどの通信系サービス全般に適用される制度です。ただし、同じ通信系サービスであっても、PHSやプリペイド携帯、ADSLや固定電話全般については対象外となります。
上記を整理すると、以下の表のようになります。
移動通信サービス
初期契約解除制度の対象 | 初期契約解除制度の対象外 |
---|---|
・大手通信キャリアの携帯電話 ・大手通信キャリアのモバイルWiFi ・格安スマホ事業者の携帯電話サービス |
・PHS ・プリペイド携帯 ・公衆無線LAN ・契約期間を定めない格安スマホ事業者のサービス |
固定通信サービス
初期契約解除制度の対象 | 初期契約解除制度の対象外 |
---|---|
・光回線のインターネット ・CATVのインターネット ・インターネットプロバイダ契約 |
・ADSL ・IP電話 ・アナログ電話/ISDN |
クーリングオフとの違い
初期契約解除制度と混同しがちなのが、クーリングオフ制度です。
一定期間内に契約をキャンセルできるという意味では、初期契約解除制度も広い意味でクーリングオフ制度のようなものなのですが、以下のような違いがあります。
初期契約解除制度 | クーリングオフ制度 | |
---|---|---|
対象となる販売方法 | 店頭販売、訪問販売、通信販売など全般 | 電話勧誘、訪問販売のみ |
対象となる商品 | 携帯電話、モバイルWiFi、インターネット回線など | 限定なし |
有効期間 | 8日間 | 8日間 |
有効期間のカウント開始日 | 書面が交付された日 | 商品引渡し日 |
料金の支払い | 新規事務手数料と利用料金は支払い | 送料負担のみ |
上記の表を見ていただくと分かる通り、同じ8日間という期間が設定されているものの、初期契約解除制度の場合は契約書面が交付された日から8日以内に設定されていることと、料金の支払い義務があることが大きなポイントです。
初期契約解除制度とは、実質的に解約時に大きな負担となる違約金(解約金)の支払いを免除してくれるための制度と考えたほうが良いでしょう。
また、初期契約解除制度で重要なのは、あくまでも対象となるのは通信サービスとの契約についてのみであり、端末の分割契約については対象外となることです。そこで重要になってくるのが「確認措置」とよばれる制度です。
確認措置とは
端末の分割契約において重要な確認措置というものについて詳しく解説していきましょう。
確認措置の対象
確認措置とは、初期契約解除制度と併せて端末の分割契約も解除するための制度です。ただし、確認措置が適用となるためには以下の条件が必要です。
適用条件
- 電波の状態が悪く、正常に利用できない場合
- 契約前の説明が不十分で消費者に誤解を与えるような説明をしていた場合
また、確認措置は総務大臣が認定した以下の通信事業者のみが対象となります。
対象の通信事業者
- ドコモ
- au
- ソフトバンク
- 沖縄セルラー電話
- ウィルコム沖縄
- ノジマ
- ヤマダ電機
- ラネット
- SBパートナーズ
WiMAXプロバイダの場合は、ほとんどが端末を分割契約ではなく一括販売しているため、確認措置の対象外であっても初期契約解除制度のみで対応できます。
ショップを展開している大手通信キャリアは店頭で、WiMAXプロバイダのようにオンライン契約がメインの事業者の場合はWEBページから初期契約解除制度の手続きが可能です。
初期契約解除制度の申請書の書き方
初期契約解除制度を申請するためには、所定のフォーマットの書類に必要事項を記載したうえで手続きを行います。プロバイダによって書面のフォーマットは多少異なるものの、必要事項さえ漏れなく記入していれば問題なく手続きが可能です。
今回は初期契約解除制度の手続きをするうえで必要な項目と書き方も詳しく見ていきましょう。
最低限記載が必要な項目としては、以下があります。
ポイント
- 契約電話番号
- 受付番号
- 契約者住所
- 契約者氏名
- 生年月日
- 連絡先
- 契約サービス名
- 初期契約解除の申請日
- 初期契約解除を申請する旨の意思
WiMAXのようなモバイルWiFiサービスの場合は、契約電話番号は本体設定画面から確認するか、契約時の申込書を見て記載します。
各プロバイダの会員サイトにアクセスする
初期契約解除制度の書式フォーマットは、各プロバイダや通信事業者のホームページからダウンロード可能です。一例として、WiMAXプロバイダ大手のUQ WiMAXはこちらのリンク先からダウンロードできます。
ちなみに、上記のフォーマットがなくても先ほど紹介した必要事項を網羅して書類に記載していれば申請は可能です。しかし、万が一記載漏れや確認漏れなどがあると初期契約解除に応じてくれないキャリアや事業者が多いため、確実に申請するのであればフォーマットを利用するのがベストです。
もし自宅にプリンターなどがない場合は、コンビニ等のネットワークプリントを利用するなどして対応しましょう。
初期契約解除制度を利用するときに気をつけること
初期契約解除制度を利用するうえで注意すべきことをいくつかまとめてみました。いずれも重要なポイントのため、確認したら早めに対応するようにしましょう。
初期契約解除制度を利用することを明確に伝える
初期契約解除制度を申し出る際に、まずはサポートセンターなどのスタッフに電話で相談する方も多いことでしょう。このとき、明確に「初期契約解除制度を利用したい」ということを意思表示する必要があります。
単に「解約、キャンセルしたい」と言ってしまうと、通常通りの解約手続きを取られてしまい、高額な違約金が発生する可能性もゼロではありません。当然のことながら、解約と初期契約解除では意味が大きく変わってくるため、明確に「初期契約解除」という言葉で意思表示する必要があります。
親切なサポートセンターのスタッフであれば言葉のニュアンスから意味を汲み取ってくれる可能性もありますが、残念ながら全てがそのようなスタッフであるとは限りません。初期契約解除制度は消費者が主張できる正当な権利であるため、はっきりと意思を示すようにしましょう。
期限を守る
初期契約解除制度は自宅に端末が届いた日から8日以内ではなく、契約書面が届いた日から8日以内と決められています。そのため、先に書面が届き、その後端末が届いた場合は急いで自宅や職場での利用可否を確認しなければなりません。
自宅のリビングや寝室はもちろん、トイレやキッチン、その他自宅のすみずみまで電波状況を見極めましょう。
また、契約書面を隅々まで見て、契約時に説明されていない項目がないか確認することも重要です。特に違約金や契約期間、料金プランやオプションサービスなどは契約者にとって不利な条件が設定されている可能性もゼロではないため、特に注意が必要です。
重要事項を一切説明しないまま契約する悪質な事業者は少ないですが、説明不足や言葉の行き違いからユーザーが誤解しがちな内容は多いものです。少しでも疑問に感じたり、聞いていない内容が出てきた場合、すぐにサポートセンターへ問い合わせたうえで疑問を解消しましょう。
8日という期限が定められている以上、端末が届いたら速やかに電源を入れて起動し、電波の状態を見極めることと、契約内容を確認することは非常に重要なポイントです。
期限に気をつけて初期契約解除制度を利用しよう
今回ご紹介してきた初期契約解除制度のポイントを整理すると、以下の4つが挙げられます。
ポイント
- 一定期間内に契約をキャンセルできる制度
- 分割契約がある場合は確認措置によって救済される
- 初期契約解除は書類によって申請する
- 初期契約解除の意思表示を明確に示すことと、期限に注意する
初期契約解除制度は消費者を守るための重要な制度のため、不利な条件に泣き寝入りしないように注意しましょう。
今後、携帯電話やモバイルWiFi、インターネット契約を検討している方はぜひ今回紹介した内容を覚えておくことをおすすめします。